ひまわり〜あたしの心に咲いた花〜
明奈は、痛々しく顔を歪めながら、ギュウッと拳を握った。
力を入れすぎて、それは小刻みに震えていた。
あたしは、表情すら表すことが出来なかった。
悔しさや悲しみが渦巻いて、あたしの頭はパンクしそうで、それをどう表せば良いのかも判んない。
「皋……」
よく頑張ったね…
ガラス越しで、彼の輪郭を指でなぞる。
温度の無い透明な板は、あたしのそれすら拒絶しているようで、胸が痛んだ。
あたしは其処から、暫く動くことすら出来なかった。
──もう、目を覚ます事は無いかもしれないらしいわね…
誰かの呟きが聞こえた。
驚いて声の方を向くと、皋に何度か関わった事のある看護師等が、世間話をしながら歩いていた。
彼女達は医療に精通しているし、何より、主治医の話も聞いているだろう。
だから、余計に。
言葉に重みがあって、あたしはどうしようもなく力が抜けてしまった。