ひまわり〜あたしの心に咲いた花〜



温かいシャワーの湯が、あたしの凝り固まった体を解すような気がした。

立ち上る湯気が天井に届き、その何滴かがあたしの頭に落ちてくる。


「冷た……」


シャワーで温まったはずの体が、その一滴で冷えていく。

あたしは湯槽に体を沈めた。



あたしは、友達が居て、理想の母が居て、五体満足で、学校にも普通に行って、おいしいご飯食べて、何の不自由もなく生きている。


それは至極当たり前で、揺るぎないものだとあたしは思っていた。

だけど、本当はそれが奇跡のような物なんだってことを、あたしは最近知った。


世の中には、あたしより先に死んで、後に死ぬ人がいて、中には生まれた日と死んだ日が同じ人も居るんだってことを、思うようになった。

今日、目の前で消えそうな命の燈を見た。


手を伸ばさないと、掴めないような。

いや、伸ばしても届かないところへ行ってしまいそうなそれを。


あたしは天井に浮かぶ照明に手を伸ばした。


それは消えることなく、眩しいくらいに輝き続けていた。






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