ひまわり〜あたしの心に咲いた花〜


病院は公園からすぐそこで、あたしの通学路にもなっている、デカイ市立病院だった。
目が見えないのに、よくここまで歩いて来たものだ。

あたしは繋いでいるアイツの手を引いて、「着いたよ」と声をかける。


「あ、ありがとうございます。あとはよろしいですよ。自分で帰れますから」


アイツはニコリ、と少し固い笑顔で言った。はにかむようなその顔は、あたしは別に嫌いじゃないと思った。

あたしは手を離さずに、一人で帰る気満々の奴にこう言った。


「病室までつれてくよ。何階の、何号室?」


すると、奴は慌てた様子で首を振る。


「初対面の方にそこまでして頂くなんて、悪いですよ。俺は大丈夫なので……」

「別に良いじゃない。あたしの暇潰しに付き合ってよ」


あたしがそう言えば、奴は「じゃあ……」とあたしの手を握り返す。入院歴は長いのだろう、指の一本一本が細くて、あたしの手に食い込むようだった。


本当は、こいつの名前と、病室の場所が知りたいだけだったんだ。





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