ひまわり〜あたしの心に咲いた花〜



無事に学校を終え、あたしは病院に向かった。

明奈はいつもの仲良しメンバーのうちの一人が誕生日だということで、暗くなってから皋の様子を見に来ると言っていた。

あたしは一足先に、病室に向かった。


ベッドの上には、蝋人形のように生気を失った皋が横たわっており、閉じられた目蓋を縁取る長い睫毛が、鈍く射し込む夕日で扇形の影を作っていた。


「皋……」


思わず、あたしはその名を呼んだ。

返事はない。

何だかひどく不安で、あたしは皋の細く筋の浮き出た手を握る。


もう、目が覚めないかもしれない。

機械に繋がれて、一生を終えるかもしれない。



──そんなの、嫌……



「……皋…」


お願いだから、また声を聞かせてよ。





その時だった。




「…ゆ………り…………?」




「…!」



弱々しい声が、聞こえた。







< 93 / 112 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop