ひまわり〜あたしの心に咲いた花〜




「…きっと……もう…何をしてもダメだよ……息も…苦しいんだ……喉が…潰されてるみたい…」


酸素マスクが意味を為していないと言うのか。

ならば、人口呼吸器を取り付けて、肺の機能を助ければ良いのではないか。


「……俺、もうダメかと思ったんだ…………発作を起こした、あの日…………死んだんだな、お母さんと、お父さんに会えるかなって………思った…………」


そこで、皋は咳き込んだ。

ヒューヒューと変な音がしている。

それでも、あたしはナースコールを押せなかった。


──…皋が……望むなら…


「……でもね…優里が、呼んでたんだ……遠くで………そっちに……行かないで、ってね」

「あたしが……?」


何だか恥ずかしくなった。


確かに、あたしはいつもベッドの脇で名前を呼んでいた。


それが、彼を呼び戻したのだろうか。



「それに……俺……優里に、言えてないことが有ったんだ……だから、誰も呼んでほしくなかった……最後は……優里だけに…言っておきたかった…事だから…」




───あたしに……?






< 95 / 112 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop