僕の記憶が消えていく

『なんだよ、あいつ!!』


颯太くんはまだ怒りがおさまらず病室を出てからも怒っていた。


『あれ、香吏奈ちゃん久しぶり。お父さんに用事?』


脳外科の看護師長が声をかけてきた。


『お久しぶりです。今日彼が入院して。』 


『もしかして紺野くん?紺野くんならお父さんの担当だし安心して任せるといいわ。』


………。


私、そして颯太くん、世羅くんは固まった。


『瞬は骨折で入院したんじゃないんですか!!何でパパが担当なの!!』


『それは…。あのそうよね。紺野くんは足骨折して…。そうそう頭ぶってないか検査するために。私まだ仕事があるからじゃあね、また。』


看護師は明らかに動揺し私たちからそそくさに消えた。


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