A baby's leaf
「…北沢くんが?」
あたしが聞き返すと、砂田くんは微笑んで頷く。
「そ。ノート借りたときも『このノート見ても、会長に頼る妹って思えるか?』って俺に言ってきてさ」
砂田くんが情けなさそうに笑って続ける。
「よく見りゃすげぇ努力じゃん。ごめんな」
あたしはただ呆然と聞いていて、戸田くんの謝罪にも首を振るのが精一杯。
「色々噂あるけどさ」
砂田くんがゆっくり口を開く。
「あいつは戸田さんだけを見てるよ」
さらに呆然とするあたしの肩に、いつのまにか隣にきた裕美が手を載せる。
「裕美ごめん。あたし行かなきゃ」
携帯を開いて、今朝のメールを見せる。
「わかった」
裕美は優しく微笑んで、あたしの頭を撫でた。
その温かい手は、あたしに頑張れといってるみたいだった。