僕だけの瑠璃色
「今日、パパは……ママのドッペルさんを……見てしまったのだ…」


「………ドッペルさんねぇ…」




真剣な面持ちのパパ。


その表情はとってもイケテる男性なのだけど、……きちんと『ドッペルゲンガー』って言えないのかしら。





「信じてないでしょ瑠璃!そんなシラけたーみたいな顔しないの!高田清美さんっていうんだけどね!ママに超ーーーーーーーーーッ似てんの!!」


「……はいはい。それでそのママに似てるとかいう高田清美さんがどうしたの?」



なんだそんなことね、相変わらずくだらないわ、パパ。


誰がママに似ていようと私には関係ない。

私のママはママだけなんだから。


いちいちパパのくだらないお話なんかに構ってられないわよ。





「そんなこと言ってられるのも今のうちだぞ!ほら見てよ見て!高田清美さんの履歴書!今日パパの会社に派遣社員として雇われたの!この履歴書はパパが土下座して部長借りたの!!パパ凄い!!」


「自尊してんじゃないわよ。履歴書なんて個人情報なんで持って帰ってくんのよ。清美さんに失礼でしょ」


「やめてぇーーぇえッ!そんな冷めた綺麗な瞳でパパを見ないでぇーぇえッ!!もっと優しくしてーぇぇえ!!」


「叫ぶな喚くなうざい」




その高田清美さんの履歴書とやらを取り出して振り回すパパにイラッときちゃって、私ったらまた酷い事言っちゃった。

パパは…予想通り。しなーっと緩く頭を垂れる履歴書と一緒にパパも静かに俯いているの。





パパのお守りって…大変だわ。




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