燕と石と、山の鳥
「えぇそれはもう。古くからの家の一員ですから」

「りりちゃんは昔からお人形さん遊びが好きだったものねぇ」


にこにこと笑うお袋の言葉に梨里子が拗ねたように口を尖らす。


「あんまそーゆー事言わないでよ?友達とかに知られると面倒なんだから」

「なにか不都合が?」

「馬鹿にされるんじゃねぇか?中学生にもなって人形遊びが好きだって知れたら」


かくりと首を傾げている芹緒に梨里子が「ま、そんな感じなの」と苦笑する。

確かに梨里子は今だに人形に話しかけたり、人のように扱う節が人より強い。
俺を含め家族、そして理人なんかはその事を気にしていない。

だが世間はそんな人間ばかりじゃないのだ。



「ただでさえなんちゃってワルの兄貴がいるせーで変な噂立つってゆーのに、からかわれる原因自分から増やしたくないしねー」


まぁ、多分事実なんだろう。
梨里子は軽口程度にしか言わないが。

実際俺は中学あたりから今まで、相当ガラの悪い不良にまで目をつけられるくらいには悪評が一人歩きしてる。



「人ではないモノに心を配る事が出来る、と言うことでしょう?僕はとても素晴らしい長所だと思うなぁ」


のん気に誉める芹緒に、梨里子は少し照れたのか頬を赤くした。
< 101 / 104 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop