燕と石と、山の鳥
人ではないモノ、か。
そういったモノに心を配るってのは何をもたらすんだろう。


「ところで芹緒さんってなんでいつもお面つけてるの?」

「あぁこれですか?照れ屋なもので」




なんの反応もせず飯を食ってる親父を見る。
いつもなら「いい年した小僧が女々しい事を」とかぼやくんだけど…

不思議なこともあるもんだ。



「あの人形、ヒノと言うんですが」

「可愛い名前」

「先代が付けた名ですが同感です。何故彼女が大事にされていると?」



朝食を終えて席を立つ親父の横で、梨里子は芹緒の質問にきょとんと目を丸くする。

その後視線が親父を追い、店に行ったのを確認し、お袋が流し場で手元の作業に意識を向けている様子を確認する。
ここで俺の存在を疎まないところがこいつらしい。


「……あの子が、そう教えてくれた…気がして…」

「なるほどなるほど。どうりで」







芹緒の奴も一体どこまでが本気でどこまでが冗談なのかさっぱりわからねぇ。
梨里子もさすがに肩すかしをくらったような顔で芹緒を見ている。





笑われるか、どん引きされるとでも思ってたんだろう。
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