燕と石と、山の鳥
かちり、と、


突然俺の頭の中は、唐突に視界を変えた。



「!!」









彼女は

あの子


人の形

この子




人形と話をする梨里子の小さい時からの光景は俺にとってよく馴染んだものだった。

だから思い至らなかったんだ。


俺と二人の、あのヒノという存在への確かな違い。





「…ごっそさん」

「御馳走様でした。とても美味しかったです」

「まぁまぁお粗末様〜」


ご機嫌なお袋と芹緒のやり取りを背に俺は自室に駆け込んだ。

そしてベッドに寝かされたままの人形、ヒノを見る。
さっき見た状態と変わらず、朝の日が入ってきた部屋でなんの変わりもなく寝そべっている。



「受け身、だったんだな…俺は……」
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