燕と石と、山の鳥
その瞬間、
バチィッ!!
「ギャアゥッ」
青白い火花が散って悲鳴と共に男が飛びのいた。
ようやく開放されただらりと下がる左腕からとめどなく血が流れていても、芹緒は気にする素振りを見せない。
「さて、狗神。
お前には元いた山へと帰ってもらいましょうか」
芹緒が右手の人差し指と中指で目の前の空間をゆっくりと一閃すると、その裂けた空間から一振りの刀が出現した。
碧い刀身と朱い柄。
そしてシャボン玉のように変化する光を放つ飾り玉。
刀を手に身を低く構え、芹緒の澄んだ声が響いた。
「在るべき場所へ帰します」
一瞬だった。
芹緒の剣は、男の体を一刀両断した。
辺りに無数の犬のような人のような悲鳴がこだまする。
「お還りなさい。
己が住み処へ」
やがて男の身体から黒い煙が噴き出し、それは高く夜闇に消え、辺りには静寂と夏の夜のじんわりとした暑さが戻って来ていた。
バチィッ!!
「ギャアゥッ」
青白い火花が散って悲鳴と共に男が飛びのいた。
ようやく開放されただらりと下がる左腕からとめどなく血が流れていても、芹緒は気にする素振りを見せない。
「さて、狗神。
お前には元いた山へと帰ってもらいましょうか」
芹緒が右手の人差し指と中指で目の前の空間をゆっくりと一閃すると、その裂けた空間から一振りの刀が出現した。
碧い刀身と朱い柄。
そしてシャボン玉のように変化する光を放つ飾り玉。
刀を手に身を低く構え、芹緒の澄んだ声が響いた。
「在るべき場所へ帰します」
一瞬だった。
芹緒の剣は、男の体を一刀両断した。
辺りに無数の犬のような人のような悲鳴がこだまする。
「お還りなさい。
己が住み処へ」
やがて男の身体から黒い煙が噴き出し、それは高く夜闇に消え、辺りには静寂と夏の夜のじんわりとした暑さが戻って来ていた。