燕と石と、山の鳥
街中の建物の屋上、給水タンクの前に立つ小柄な人影は、縁日で見たような顔の白い、目鼻立ちを朱く描いた狐の面の中から、小さな酒屋からのそりと出てきた青年を捕らえていた。



真っ黒な髪を全て後ろに流し、自然体にして善くも悪くも人をひき付ける独特の雰囲気。
そして、巷で噂される不良として似合わない理知的で芯の曲がっていない鋭い眼。












狐面によって素顔を隠す人影は、












「…見つけた…」









小さく何か呟くと、

やがて建物の中にするりと姿を消した。





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