燕と石と、山の鳥
第2話 罪を責める罪火
「"魅"って言うのは人面で人を惑わす妖怪を言うんですよ。
そして木霊は木魂とも書き予想出来る通り樹木の精霊の意ですね。
古木には精霊が宿っていると信じられましたから、人がむやみに切ることをタブー視されたんです。
そんな風に木霊の祟りを恐れ、"入らず山(森)"、"祟り山"、"アゲ山"、"イセチ"などと呼んで、山作業のできない場所として人が寄り付かない場所が昔からあるんです。

人が意識して寄り付かなくなった場所に、力の強い賢い妖怪が辺りの妖怪を集めて管理するようになったってわけです」


「なるほどな…」









駅のホーム。
とめどないアナウンスと人波。


昼間に市内の大手書店に予約していた本が届いたって連絡が入ったから、放課後そのまま本を取りに行くところで、例の如くカツアゲされてる芹緒を助け、こいつはそのままついて来た。



歳は同じだがどうも高校には行っていないらしい。

まぁ、こいつが制服来てる所の方が想像つかん。





今日こいつが付けてる面は翁面。
何て言うか、この顔をくっしゃくしゃにして笑う柔和な老人の顔から若い人間の声が出てくるってなんつー違和感だ。


とりあえず同行することになったんだし、ってことでこの人の溢れ返るホームでなんで妖怪が山を住み処にしてんのかって話題になったのだった。





半径1メートル以内には人が寄り付かないのはいつもの事だが、今日は能面付けたちっさい相方がいるからいつも以上に効果抜群だぜ。
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