燕と石と、山の鳥
「今度は西高の子だったって!」
「嘘っ!?隣じゃん…」
「こわーっ」





学校の中の話題も最近のブームは例の殺人事件の事だった。

まぁ、だいたいの生徒は俺の存在に気付くと声を潜めて小さく固まっちまうから俺は話題に入れない。


まぁ、例外はいるには、いるが。








「おーはよっ!浅水くんっ」

鈴のような軽やかな声と共に背中を軽く叩かれる。



「…おぅ、相模」





ふんわりと鎖骨に乗せた濡れたような栗色の髪。
硝子玉みたいにくりくりとした瞳。
控え目の色香がある唇に、少し白めの陶器みたいな肌。

我が高が誇るマドンナ、相模 貴姫(サガミ キヒメ)。

この学校の女子で、俺に普通に接してくれる数少ない女子。
俺と目が合うと相模は絶妙な角度に首をゆるりと傾け見る者の脳内を浄化しつくすような微笑みを浮かべる。


気を抜くと直撃した俺は他の周りで様子を伺っていた男達のとろけ方より酷くなるだろう。
堪えろ!俺!!
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