燕と石と、山の鳥
「さて、経過を見るとは言え今週末には現場に向かおうと思います。構いませんか?」

「しょーがねーよな…」


新聞を畳んで脇に置く。
コンクリートの反射光が目の奥に染みた。

空気が熱っぽい。


「時に、紺。以前話していた言霊の訓練の話、記憶にはありますか?」

「あー…そういえば…」


したな。んな話。


「予定の方に問題がなければ今日の放課後にでも訓練を始めようかと思うんですがどうします?」

「ん。わかった」


では放課後にまたこの場所で、と芹緒が言うと同時、予鈴が足元の方で響いた。
新聞をそこに残し、俺は一人校舎に戻っていった。


校舎に入って直射日光から逃れた途端、変に冷たい空気がほてった頬を撫でた。
階下に行くと外の蝉達とは違った喧騒が戻って来る。

「あっさみーっどーこ行ってたんだよー呼び出し?」

席に着くなり背もたれを抱えるようにして椅子に座る理人が声をかけてきた。

俺の机の上に理人のノートが乗っている。

野郎、勝手にノート持って行きやがったな。
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