燕と石と、山の鳥
「ま、詳しい事は後々知っていただければ…」とかなんとか言っててあまり詳しい事を今言う気はないらしい。









「あっそ…
…んで、泰納とか言ったな?"忌み物筋"ってなんのことだ?」



早々に軌道修正を促す俺に泰納と名乗ったそいつは「あ、芹緒で結構ですよー」とか言いつつ話を戻す。





「"忌み物筋"とは過去に何か原因があってその血族一帯にわたって呪われた一族の事ですよ」



授業のレクチャーをするみたいに芹緒は話し出した。

面と言い、その細い腕に着いた大きめの玉の数珠じみたブレスレットと言い、白と黒の勾玉を合わせたデザインのペンダントと言い、ただのオカルト好きだと片付ける事も出来るのだが、何故かこいつには一言で片付けさせない説得力が感じられる。



「種類はそれぞれですが、大概においてそのような筋に産まれた人は憑き物筋とも呼ばれ少なからずその影響を受けます。
その特異な力を周りの人々が忌み嫌ったことからそのような通称が付いたんですよ」




「浅水さんのお家は予想しているかとは思いますが"狐憑き"の筋ですね」といって自分の付けている狐面を指す。





「筋の力が強い程その人は周り、あ、血縁者は例外ですよ?
周りの人達に忌み嫌われるのが憑き物筋の通例です。
憑き物筋の人はその血に取り付くモノを操ると言われますが、現代においてその力を使いこなす人はごく僅かですね。
おそらくそれ自体伝わっていないんでしょうし。

浅水さんが昔からなにかと犯人扱いされたり悪者みたいに言われたのは浅水さん個人が原因なのではなく十中八九その体に流れる血が原因でしょうね」




自信満々に言ってのける芹緒に水をさしてみた。







「悪いがそうなってばっかなのは俺だけだ。
一族ってんなら親父やお袋だって例外じゃねぇんだろ?」
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