巡る巡る
走った。
行って、どうするかなんて
そんなこと考えていないけど。
いてもたってもいられなくて、
孝太に場所を聞いて
気付いたら、
走り出していた。
暗くなった校内には人の気配はなくて、薄気味悪い。
外から聞こえる生徒の笑い声が、どこか別世界のものの様に響いていた。
朝とは違う教室の姿。
切れた息を整えながら、
そっと教室に近づく。
…相沢……、
ギュッと手を握り締めて
教室の扉のガラス窓を覗いた。
「…………、」
そこにあったのは
愛しい背中だった。