巡る巡る
「……あれ?…高山君…。」
振り返った相沢は、驚いた様に目を円くした。
「どうしたの?」
不思議そうに教室に入ってきた俺を首を傾げて見ていた。
「……いや、
…ちょっと教室に携帯忘れたから…。」
……ウソ。
携帯ならズボンの後ろポケットに入ってる。
「そっか。」
俺の答えに、
納得した様にニッコリ微笑んだ。
俺の好きな笑顔。
…あぁ…、やっぱり好きだ。
「……相沢は?」
「…え?」
「ここで何やってんの?」
…告白は……、
……なんて返事した…?
ドクドクと音を立てる心臓。
「………。」
一瞬の沈黙が永遠に感じた。
「……花火を待ってるの。」
再び口を開いた彼女は、
そう言って窓の外に視線を移した。