巡る巡る




「……あれ?…高山君…。」


振り返った相沢は、驚いた様に目を円くした。


「どうしたの?」


不思議そうに教室に入ってきた俺を首を傾げて見ていた。


「……いや、
…ちょっと教室に携帯忘れたから…。」

……ウソ。
携帯ならズボンの後ろポケットに入ってる。


「そっか。」

俺の答えに、
納得した様にニッコリ微笑んだ。
俺の好きな笑顔。
…あぁ…、やっぱり好きだ。


「……相沢は?」

「…え?」

「ここで何やってんの?」


…告白は……、
……なんて返事した…?

ドクドクと音を立てる心臓。


「………。」

一瞬の沈黙が永遠に感じた。



「……花火を待ってるの。」


再び口を開いた彼女は、
そう言って窓の外に視線を移した。






< 49 / 94 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop