巡る巡る
「…あたし、
ちょっと外の空気吸ってくる」
「あ、うん!分かった~!」
隣でデンモクを弄っていた友達にそう伝えて
あたしは席を立った。
「…はぁ~~…」
部屋を出ると、
他の部屋から漏れる歌声。みんな楽しそうだ。
同じ部屋に居たって、結局一言も話せないまま。
近づきたいって思ってるのに。
自分じゃ何も出来ない。
あの子達みたいに
もっと積極的になれたら。
あたし達の関係は違ってたかな?
…て、
こんなこと考えてたって無意味なのに。
カラオケ店を出ると、
肌を突き刺す冷たい風に首を埋めた。
白い息を両手に吹きかける。
じんわり温まった熱は吹き抜けた風によってすぐに奪われた。
「…もう帰ろうかな……。」
「なんて?」