巡る巡る
お互い黙ったまま校門を出た。
相沢の家は学校から近いから、
そう時間もない。
早く言ってしまわないと…。
「……あの…さ…、」
隣を歩く相沢を見て、ゆっくり口を開いた。
相沢は「ん?」と可愛らしく首を傾げて俺を見上げる。
「………あー…、」
口を開いたのは良いものの、その先の言葉が続かない。
不思議そうに俺を見る相沢に、心臓があり得ないくらい煩くなる。
……この先、なんて続ける?
いきなり好きだ…って?
ここまできてもしり込みする情けない俺。
「……あの…、
……相沢って…好きなヤツとか…いんの……?」
やっと繋いだ言葉は
そんな詮索するような遠回しなものだった。
「……え?」
俺の支離滅裂な発言に、相沢は驚いたように声を漏らした。