巡る巡る



「蘭君は参加拒否です。
そんな辛気くせぇ顔で参加されると、こっちが盛り下がる。」


……え……、



「……はぁ…。
んな切ないですって顔で見つめてんなら、さっさと告白でもしてこいよこのヘタレが。」

「………。」

「もー卒業なんだし?
別にフラれてもいいじゃん。
玉砕覚悟で行ってこいや。」

「………。」


…いや、フラれたらよくないけど……。




相沢を見る。

鞄を肩にかけ、
卒業証書の入った黒い筒を片手に
校門の前にいる俺達の方へ
ゆっくりと歩いてくる。



「…ほら、
モタモタしてると未来チャン帰っちまうぞ!」

「……いや、…俺は……っ」




……諦めようと思ったんだ。

だって相沢には、
好きなヤツがいるって。

だからもう……、



これでも悩んで考えた答えだった。


あんなに考えた答えなのに、

頭では解ってても、

無意識に追う彼女の姿。


心はまだ、

好きだと言ってる。






< 81 / 94 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop