巡る巡る
ほら、また。
目が離せない。
ゆっくりとした足取りで歩いてくる。
伏し目がちな彼女の長い睫毛が影を作る。
……相沢…。
…こっち向いて…。
俯いたままの君に
心の中で問いかける。
…顔を上げて…。
あと数メートル。
彼女が近付く度に
ヤバいくらい鼓動が速くなる。
……相沢……、
「……俺を…見て……」
手を伸ばせば届く距離だった。
この想いが届いたように、
ピタリと足を止めた相沢は
ゆっくりと
その瞳に
俺を映した。