巡る巡る



見つめあったまま
動けなくなった俺に、


「…ま、
ダメだったら打ち上げ来いよ。
兼ねて慰め会も開いてやるから。」


バシっと背中を叩いて俺を押した孝太。

「がんば」
小さな声でそう言って、ヘラっと笑って友達を連れて校門を出ていった。


…あぁー…、
なんかアイツに助けられっぱなしだな…俺。

じんわり温かくなった心で、
ありがとうと言った。

本人には言ってやんねぇけど。調子乗るから。




目の前には、
ずっと恋焦がれていた君。


もしかしたら、
これが君と話せる最後かも。


そう思ったら

怖くなったけど、
躊躇いはなかった。



…だって、仕方ないよな…。


例え
君に好きなヤツが居たとしても

もう
諦められないくらい、


君が欲しいんだ。






……瞬間、

俺を映していた
相沢の瞳が揺れて、

パッと俺から顔を背けた。





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