刹那の憂い(セツナのウレい)
「そうだと思う」


来客の、声が聞こえた。

やっぱり。

声にも覚えがない。


「今日、彼女にけがをさせてしまって。彼女の方は、オレのこと、知らないと思う」

あたしは、ガーゼを張り付けている、唇に手をやった。


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