刹那の憂い(セツナのウレい)
言って、あたしを見る。

刹那の目は、たっぷり涙を含んでそうな目。

けど、何だか今、いっそううるうるしている。

これって、もしかして涙目?

かっ、

可愛いんですけど・・・

男のくせに、こんなんアリなのか?

うわ。

あたしの心臓踊ってる。

こういうのに、弱いんだ。

「どうしよう。飲み込めないかも」

動揺しすぎてて、一瞬意味がわからなかった。

「え?」

刹那の涙目を覗き込む。

タスケを求めている。

ハッとして、

あたしはあわてて、紅茶の注がれたカップを差し出した。

刹那は受け取って、コクンと飲む。

「あ。おいしい・・・紅茶が」

あたしは、思わず、じっって刹那を見てしまう。

「何?」


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