刹那の憂い(セツナのウレい)

とばっちり

「成元!!」

矢崎が乱暴に呼んでる。

あたしは思わず反射的に立ち上がっていた。

「あんたが収拾しろ」

何を?

「あの子。何だか、さっきから、ものすごい形相であんたのこと見てる気がするんだけど」

店の外に出てみた。

入り口の傍に、

赤い髪の、

綺麗な女の子がいる。

そして、確かに、あたしのこと、ニラんでる。

あたしに恨みでもあるのか?

心当たりないんですけど。

そんな風に生きてきた覚えは・・・

って・・・

今、心当たりに触れてしまった。

一気に刹那とヒデタダが頭をよぎる。

もしかして、赤根!?

彼女は、向かってきた。

思わず身を引く。

けれど、無駄だった。

次の瞬間には、

胸倉をつかまれていた。

ひぇぇ~だ。

あたしはまじまじと、

彼女を見た。


< 126 / 203 >

この作品をシェア

pagetop