刹那の憂い(セツナのウレい)
「わからない。

けど、ヒデタダまでいなくなって、あたし・・・」

「困ったな。

返すも何も、

あたしのモノでもなんでもないし」

迷惑なヒトでしかないんですけど。

勝手に現われて、

脅して、

気に入られて。

けど、あれは昨日限りのことじゃなかったのか?

・・・メンドクサイ。

「落ち着いて。

ね?あたしは刹那がいい。

あなたはヒデタダ。

これで問題なくない?」

赤根は、驚いてあたしを見た。

まじまじと。

そして、

「ない」

言うと、

涙をぬぐった。

あたしをニラみつけ、

けれど、ふっと背中を向けてツカツカと歩き出す。

何、なんだ。

あたしは、傍のベンチに座り込んだ。

疲れた・・・

赤根の姿が、遠くに消えていく。

今の、トドメ、だな。

疲れに拍車をかけてくれた。

もう、帰らせてもらおう。

朝さえ乗り切れば、

そんなに忙しくない日、だし。




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