刹那の憂い(セツナのウレい)
と、

ニッと笑って手首をつかまれた。

店の方に、ひきずり戻される。

何をするんだ、

この暴力男っ。

「痛いって」

言うと、手が離された。

その代わりに、ドアに押し付けられる。

ヒデタダが、のしかかるように、そばに来る。

両腕をあたしの体の左右の横について、あたしは、逃げられなくなっている。

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