刹那の憂い(セツナのウレい)
なぜか謝って、背を向けようとしたら、刹那に捕まってしまった。

腕を、がしっと。

振り返ろうとすると、そのまま、両腕でホールドされた。

驚きすぎて、息をするのを半分忘れる。

刹那が、あたしのすぐ後ろに、いるのが分かる。

「・・・いい香りがする」

なんて事、言うんだ。

呼吸を、もう半分忘れる。

酸欠になりそうだ。

「今、シャワーしてきたばっかりだから」

「ふうん」

刹那の声が、ちょっと甘くなる。
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