刹那の憂い(セツナのウレい)
デジャブ、じゃなかった。

あたしは、嬉しくて、笑い返した。

やっぱ、いいなあ。

刹那。

思っていると、スッて、目の前に影が射した気がした。

無意識に、そっちを見る。

気のせい、ではなかった。

かっちりと化粧をした女が、普通の距離感を、きっちり無視してそこにいる。

くるくる巻いた、金髪の先が、あたしの頬に触れる。

「ちょっと、いいかな?」

うるさくて聞こえないので、怒鳴りつける。

え?

状況が全く飲み込めないまま、、その女に腕をつかまれて、引きずり出される。

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