刹那の憂い(セツナのウレい)
とにかく、殴られなくて、良かった。

思って、自分の変なところに気が付いた。

さっきのが男だったら、間違いなく、反撃してたな。

ただじゃ済んでないはず。

なのに、女だと、ダメだ。

手が出せない。

フェミニストとか、そういうんじゃない。

あたしは、体がすくんで手が出せなかった。

女の子が、怖いのだ。

これって、母上が怖いからかな。

耳に届く、曲に、刹那の声がのかっている。

よかった。

戻った。

ごめんね、みんな。

みんなの刹那を、一瞬借りてしまって。

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