刹那の憂い(セツナのウレい)
「そういえば、唇の怪我、もう治っちゃったんですね。

あたし、絆創膏貼ってる姿に、密かにドキドキしてました」


こらこら、あたしは女だって。

お客さんが入ってきたので、あたしは無意識にそっちに動く。

お水を手に、窓の傍の席を選んで座った、男のヒトの方へ近づいた。

彼が顔を上げる。

朝の眩しい光が、ちょうど直撃してきて、キラキラと彼の顔を照らす。

刹那だ。

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