刹那の憂い(セツナのウレい)
ヒデタダの名前を出した瞬間に、ヒデタダが、刹那の知り合いであることはわかった。

すごく、嫌そうな顔をしたから。

「あいつか。紫苑ちゃんにまで、余計なことを」

「知ってるんだ。
じゃあ、ハルキってヒトのことも?」

「知ってる。赤根(アカネ)春樹。

こいつもボーカルやってるんだけど、何かオレ、気に入られちゃってるみたいで」

気に入られちゃってる、程度の割には・・・

「ヒデタダってヒトの剣幕は凄かったけどね」

刹那はじっとりとあたしを見た。

それから、口を開く。
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