刹那の憂い(セツナのウレい)
「・・・うん」

とうとう刹那はもう一度その言葉を認めた。

刹那は目を伏せる。

「でも、しょうがないんだ。オレ、好かれるの、嫌みたいで」

衝撃的なことを言うヒトだな。

あたしは、思わず、黙って刹那を見てしまった。

こんなかっこよくて、バンドのボーカルなんかやってて、好かれるの嫌い。

って。

思ってると、刹那の方が、あたしの言いたいことに気付いた。

「仮想的に、キャーキャー騒いでもらえるのは嬉しいんだ。けど、それ以上はダメみたいで」

・・・みたいって。
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