刹那の憂い(セツナのウレい)
「他人事みたい」

「他人のことだと思いたい」

刹那は真面目な目で、まっすぐにあたしを見て言った。

他人のことだと思いたい。

ってことは、そういう自分がイヤだってことだよな。

それって、結構悩んでたりして。

そうだとすると、気の毒かも。

あたしはちょっと同情しそうになった。

その自己嫌悪に同調しそうになって。

けれど、刹那は、あたしにはニッコリと微笑んだ。

あたしはハッとした。

何だ、これは。
< 59 / 203 >

この作品をシェア

pagetop