刹那の憂い(セツナのウレい)
冷静になると、あたしはちょっと頭にきた。

こんなにかわいく笑っておいて、好かれるのが嫌いだなんて。

何て罪作りなヤツだ。

突然、あたしは、刹那の敵と化した。

ハルキを弁護して、応援したい気にすらなっている。
 
けど、どうも今日のあたしは、まだまだ疲れ切っているらしい。

急に、話すことが面倒になった。

「自分がかなり魅力的だってことを自覚して、そういうのを全部受け入れて生きたほうが楽なんじゃない?」

適当なことを言って、刹那を置いて歩き出してしまう。

「あの、紫苑ちゃん?」

「え?」

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