刹那の憂い(セツナのウレい)
自分の住処へ足を向かわせながら、振り向きもしないで返事をする。

刹那は追いついてきて、

「怒った?」

「何で?怒る理由ないけど」

怒る理由はないけれど、これ以上、あたしの、帰る邪魔をしたら、殴るかも。

今すぐにでも、部屋にたどり着いて、倒れこみたいくらいなのに。

「もしかして、凄い疲れてる?」

「うん」

「わかった。

じゃ、これだけ訊いて?オレ、多分、好きだと思う」

うん?

一瞬聞いてなかった。

頭の中に残っている記憶を再生させてみる。

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