刹那の憂い(セツナのウレい)
「とにかく、オレはあんたのほうが好みだな」

「そうですか」

「・・・動じないね」

「動じて、何か得がありますか?」

小野田は苦笑した。

「紫苑ちゃん、だね?合格これからよろしく」

「・・・?合格」

「あれ?誰でもいいって訳じゃなかったんだよ。

一応面接必須で。

でも合格。

オレが、気に入ったから」

「はあ・・・」

小野田の目が、あたしを覗き込む。

その瞳の色が、気のせいか、もっと深いグリーンに変わった気がした。
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