刹那の憂い(セツナのウレい)
「また、女にモテようって魂胆見え見えの野郎が入ってくるのかと思ってたのに。

何で、女?」

知るか。

こっちが訊きたい。

けれど、彼の隙をきっちり捉えて、その、力の抜けた腕を押しのけた。

よかった。

逃げられた。

こんなでっかい図体で、迫ってこられたら、コワいんだぞ。

本気で殴られたりしたら、死ぬかもしれない。

そういう恐怖が頭にのしかかるんだから。

< 72 / 203 >

この作品をシェア

pagetop