血まみれピエロ
「………そ、それ………」

自前、ですね。絶対。
青年は戸惑い、掠れた声で少女に声をかけました。


「……貴方、旅人だったのね。みんなから聞いたわ。だから私の事、知らなかったのね」


青年を見ながら、くすくす笑う愛らしい少女。


そして、青年は跪き恭しくお辞儀をしました。


「住人から話は聞いておりました。………この国の姫君は、よく城を出て遊びに来られると」




彼女は、笑みを絶やさず、再び口を開きました。


「だって、退屈なのよ。お城の中は居心地はいいし、勉強やダンスも好き。でもね…………」



青年は、姫君の表情を見ました。
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