とおりゃんせ2~日村令子の場合~
『私は社会的に見ても 家族に対しても
正しい選択をしただけだ
この歳で子供を育てるなんて
やっぱり無理だ!良かった正解を選んで!』
そんな事を思いながら
子供の前を通り過ぎようとした
「お姉ちゃん!待ってよ!一緒に行こうよ!」
そう言うと男の子は
由里の腕をグッと掴んで 引っ張った
『ウザいな~・・・』
「わるいけど・・私 疲れてるから…」
そう言って由里は
男の子の手を パッと払った
由里に邪険にされ
男の子は寂しげな表情で
コートの男を振り返った
コートの男は黙って
2人の様子を見ている
しかし 今まで『とおりゃんせ』を唄いながら
遊んでいた子供たちも
皆 いっせいに動きを止め
由里と男の子を
じっと見つめた