賢い世界の壊し方
君が例え数百万の人間を殺し得たとしても、それは一時的に君の名を世間に知らしめるだけの効果しかない。
君はそれでいいのかい?
どういう意味って、そのままの意味だよ。
君がどんなに残酷で盛大な殺人を行ったって、それで世間を騒がせるのはほんの一瞬。人は忘れる生き物で、そしてどんな状況に陥ろうと復興する力をもっているからね。
君が死刑になった後、人々はいつか君を忘れ、再び以前のような生活に戻るだろう。
遺族や関係者という立場で被害にあった一部の人間には消えることのない傷を残すだろうが、彼らもいつかは死ぬからね。
残るのは、君という残忍な殺人犯が過去にいて、多くの人間を苦しみに陥れたという史実のみだ。
君の目的は社会の教科書に載ることかい?違うだろ。
君はきっとこう思ってる。誰にもできないことを成し遂げたい。世界を変えたい、と。
だけど、君のやり方じゃ今述べた通りの結果にしかたどり着けない。
そこで、僕の出番な訳だ。
君がさっき言った言葉には続きがあるんだが、知ってるかい?
知らない?まぁ、よく耳にするのは前半部分のみだからね。