ハッピーエンド
雰囲気で貴女が、噂の田中さんの娘だって気がついたけど、話しを止めさせるとか、貴女に謝るとかは僕には出来なかった。

いや、僕は何もしなかったってのが正解。

関わりたくなかった。僕はあのとき、傍観者でいたかったんだ。

悲しそうに顔伏せて、少し早足で、貴女は僕を追い越し、その横を通りぬけようとしていた。

オバサン達の一人が貴女に気づいて、気まずい雰囲気が辺りを満たされたその場を、貴女は足早に通り過ぎた。

緊張した空気がゆるみそうになったとき、貴女は振り返ったんだ。
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