この空が晴れるまで
「もしもぉし、香奈ぁ?」
携帯から聞こえてくるのは
咲の声。
泣いた後の様な、
少し鼻声まじりだった。
『あ、どったの-??』
和人の事かな、と
薄々気付いていたものの、
何も知らないふりをした。
「和人ってばねぇ
好きな子がいんだってぇ。
本当信じらんなぁい。」
『そ、そっかぁ…』
やっぱり。
私は何て言えばいいのか
わからなかった。
「でもさぁ、
諦めらんないわけよぉ。
香奈さぁ
和人のさぁ
幼なじみじゃーん?」
私は黙って咲の話を
電話越しに聞いてる事しか
出来なかった。
「でぇ、
協力してほしいんだぁ。
いいよねぇ?
好きな子を聞いてほしいのぉ。
そいつぶっとばすからぁ。
あはは~。」
いいよ、とも言ってないのに、
咲は話を続ける。
ぶっとばす
という言葉は咲の口癖。
でも、本当か嘘かは
わからない。