曖昧
「んー…、、、」
「どーした、歩美?らくねぇぞ。」
「え?」
「ここ!」
人差し指を立てて眉間にその指を当てた。
こいつは、神野隆二。
幼なじみに近い存在の…
まぁ、仲のいい男子。
「おーい、聞いてんのかよ。」
「聞いてるよー。ごめんごめん。」
「歩美、最近元気ねぇー!;俺に話せってばよぉー!」
「なーんで、あんたなんかに話さなきゃなんないのよ~」
「うわっ!ひっでぇー言い方!俺ら、仲いいじゃんかよぉー!」
「関係ないでしょー!」
「何でだよー!」
隆二は泣くまねをした。
「はいはい、よしよし。」
私は隆二の頭を撫でる。
「なぁー水くせぇこと言わねぇーで俺にも話してくれよな?」
「いつかねー!」
「うわわわわっ!」
隆二はまた泣くまねをした。
もーめんどくさい。
今は、隆二に構ってる余裕なんてないのに…。
「じゃーね!」
「えー、もー行くのかよ。」
「当たり前じゃん、チャイム鳴ってるからね。」
「えぇー!?嘘!?うわっ!本当だ!全く気づかなかった!」
「ははは!ばかだなぁ、隆二は。」
「笑った。」
「…え?」
「やっと笑ってくれた。最近、歩美元気ねぇーんだもん。正直、本当心配してんだかんな!無理に笑う必要ねぇけど、辛い時は逆に笑って過ごした方が、結構スッキリすんもんなんだぜ?」
…隆二…。
そんなこと考えてくれてたんだ。
あたし、気づかないうちに心配かけてたんだね…。
隆二、ごめんね。
「ありがとう。」
「いーってもんよ!気にすんなよ♪歩美は、笑った顔の方が似合ってんだから!」
「本当ありがと!」
「ならのー!」
隆二は手をひらひらさせながら教室を出て行った。
私は心の中で、もう一度隆二に感謝した。