スローボール
ただ、あたしに投げ返すだけで。
その変なキャッチボールが妙に楽しくて、先生に何度も投げ返した。
先生も何度も投げ返してきた。
ちょっとした部活みたいだった。
先に止めたのは、あたしの方だった。
なぜだか途中から顔が火照ってきたのがわかったから。
先生に向かって、
あたしは…確かこう言ったの。
「先生!楽しかった」
先生は、笑いなれないような笑顔で、
「おう!」
って言うと、歩いていっちゃった。
歩いていく先生の後ろ姿を見ながら、胸がドキドキしていた。