お と う と 。
「そうそう。……あ、でさ」
そこで予鈴が鳴る。椅子に座り直し、教授が入ってくるのを横目で見ながら、結衣は今度はささやき声で会話を再開した。
「再婚、いつ籍入れるの?あたし、出席した方がいい?」
「いいわよ。お父さんたちは結婚式、しないって。役所に届け出出すだけにするって言ってる。
代わりに、家族でレストラン行って食事だってさ。だから、気にしなくていいよ」
「そっか、わかった。
ああ、後いい忘れてたけど、」
ノートを取り出しながら、結衣はさらりと付け加えた。
「今日の放課後、サークルの会議だってさ。どこにするか、決めるって。
予定、空けてる?」
「大丈夫。ばっちり空いてる」
「おっけ」
にこりと笑って、結衣は前を向いた。あたしも一緒に前を向く。教授がぼそぼそとしゃべりだした。