お と う と 。


「そうそう。……あ、でさ」


そこで予鈴が鳴る。椅子に座り直し、教授が入ってくるのを横目で見ながら、結衣は今度はささやき声で会話を再開した。


「再婚、いつ籍入れるの?あたし、出席した方がいい?」

「いいわよ。お父さんたちは結婚式、しないって。役所に届け出出すだけにするって言ってる。

 代わりに、家族でレストラン行って食事だってさ。だから、気にしなくていいよ」

「そっか、わかった。

ああ、後いい忘れてたけど、」


ノートを取り出しながら、結衣はさらりと付け加えた。


「今日の放課後、サークルの会議だってさ。どこにするか、決めるって。

 予定、空けてる?」

「大丈夫。ばっちり空いてる」

「おっけ」


にこりと笑って、結衣は前を向いた。あたしも一緒に前を向く。教授がぼそぼそとしゃべりだした。


< 15 / 25 >

この作品をシェア

pagetop