お と う と 。
「じゃあさ、ちょっと助けれくれない?」
「え?」
「マネージャーみたいな感じでさ。
剣道部って、そういうのいないだろ。この季節になってくると、中って結構蒸し暑いんだよね。へばっちゃうんだ」
「えーマネージャー?」
「ちょっと、沙耶!」
耳元で怒声。
びくっとして振り返ると、そこには鬼のような形相をした結衣が、バックに他のサークルのみんなの視線を背負って立っていた。
その眼が剣呑に光る。
「いい度胸ねえ、あたしが司会してる時に、のんびりと雑談だなんて」
「あ、あはは……?」
「わ、悪ぃ、」
「二人とも、後でジュースおごり決定。勿論全員にね」
げえ、と日野君が嫌そうな声を上げた。
そんな日野君は、性格の良さにも加えてスポーツをいかにもしていますという様なかっこいい容姿をしているから、女子にも人気があったりする。
勿論友達だけの集まりとはいえ、彼にあこがれている女子はいないわけではなく、私は彼女達の言い様のない視線を受けて、縮こまった。