お と う と 。

2



バイトをして家に帰ると、そこに奈津美さんがいたので、あたしは呆然としてしまった。


(何で?)


まだ、引っ越して来るには日があるはずなのに。


今日は父は遅いはずなので、24時間営業のスーパーで買い物をしたその袋を下げた私がぼうっと突っ立っていると、奈津美さんがあたしにようやく気付いた。


「沙耶ちゃん帰っていたの?お帰りなし」

「……あ、はい」


にこやかに言われて、思わず絶句した。けれど、すぐに我に返って、慌てて頷く。


「ただいま」なんて、父さんにも言われたことはなかった。


あたしから、父さんに言うことはあったけれど。


あたしは気になっていることを聞いてみた。



< 20 / 25 >

この作品をシェア

pagetop