お と う と 。
2
バイトをして家に帰ると、そこに奈津美さんがいたので、あたしは呆然としてしまった。
(何で?)
まだ、引っ越して来るには日があるはずなのに。
今日は父は遅いはずなので、24時間営業のスーパーで買い物をしたその袋を下げた私がぼうっと突っ立っていると、奈津美さんがあたしにようやく気付いた。
「沙耶ちゃん帰っていたの?お帰りなし」
「……あ、はい」
にこやかに言われて、思わず絶句した。けれど、すぐに我に返って、慌てて頷く。
「ただいま」なんて、父さんにも言われたことはなかった。
あたしから、父さんに言うことはあったけれど。
あたしは気になっていることを聞いてみた。